自分たちで賃料減額交渉をするメリットとデメリット

会社の経費を削減するために有効な手段の一つに「賃料削減」があります。
日本では昔から「賃貸借契約を交わして一度決定された家賃を変更することはできない」という考えが根付いていました。
しかし最近では賃料削減交渉を行う企業なども増えてきています。

賃料を削減するには、物件オーナーや管理会社を相手に賃料削減交渉をしなければなりません。
では、この交渉を自分たちでする(つまり外部に発注をしないで自社の総務部門や管理部門等で行う)ことには、どのようなメリット・デメリット、リスクがあるのでしょうか。

自分たちで賃料減額交渉をするメリット

費用がかかりにくい

最近は様々な賃料コンサル業者が存在しています。
これらの業者を利用すれば、かなりスムーズに賃料減額交渉を進めることはできますが、着手金や交通費、成功報酬など、一定の手数料が発生します。
しかし自分たちで賃料減額交渉をする場合は手数料を支払う必要はありません。

業者が引き起こすトラブルを心配しなくていい

外部に委託する場合、
・外部の人間が本当にちゃんとやってくれるのか
・貸主側との関係を悪化させるようなことをしないか
などの不安もあるかと思います。

確かに、無料査定の結果、「査定した全ての物件に減額可能性があります」などと言って闇雲な交渉をする(当たって砕ける)ような業者も多数存在します。こういった業者は成果報酬制を採用しているため、少しでも可能性があるなら交渉しようと考える傾向にあります。彼らは利益さえ上がればいいので、依頼主側の都合や関係性の悪化などはあまり気にしません。減額を勝ち取れたとしても、貸主側との間にしこりが残ってしまう可能性もあります。

自分たちで賃料減額交渉をするデメリット

時間と労力がかかる

賃料削減交渉にあたっては、周辺のマーケット調査や適正賃料の算出、交渉のための書類作成、そして実際の交渉など、やらなければならないことがたくさんあります。

通常業務に充てるべき時間や労力を交渉のために割くことになり、業務に支障が生じたり、それを挽回するため新たな人件費が発生したりして、本来の業務に支障が出る可能性があります。

長引く可能性が高い

不動産業務に日々携わる貸主側と対等にやり合うには、相応の準備が必要です。準備に時間をかけているうちに、今のままの賃料がどんどん積み重なってしまいます。

失敗に終わる可能性が高い

準備が長引くだけでなく交渉も長引いてしまうと、失敗に終わる可能性が高くなります。賃料改定は貸主側としてもストレスのかかる行為です。
ずるずると時間をかけて交渉しても、貸主側が要望に応じてくれる可能性は下がる一方です。スムーズな交渉が重要なのです。

自分たちで賃料減額交渉をする際のリスク

貸主側との関係悪化

不慣れな交渉により、減額に失敗するばかりか、貸主側との関係が悪化してしまうリスクがあります。
契約内容によっては、更新を拒否されてしまい、立ち退きを余儀なくされる可能性もあります。

結論

自分たちで賃料減額交渉をすれば、外部に支払う手数料や成功報酬を払わないで済みます。

しかし、いざ不動産取引のプロである管理会社や不動産会社との交渉が始まってみると、思ったように交渉を進めることができず、賃料の減額に失敗、あるいは希望減額金額よりも大幅に少ない額しか減らしてもらえない結果に終わりやすくなります。

時間と労力を費やして準備・交渉した結果、首尾よく減額できれば御の字ですが、

・減額できるにはできたが、2%だけだった
・減額できるにはできたが、2ヶ月間の期間限定だった
・減額できるにはできたが、不利な条項を盛り込まれてしまった
・逆に賃料の増額要請をされて困っている
・貸主側との関係が悪化して居心地が悪くなってしまった

といったケースも数多く存在します。

「餅は餅屋」という言葉があるように、賃料削減交渉を行う際には、成果・コストパフォーマンスを上げるため、そしてトラブルを防ぐためにも、賃料コンサル等のご利用を検討されてみてはいかがでしょうか。