テレワークがオフィス需要に与えた影響
2020年、2021年には新型コロナウイルスの感染拡大の影響により多くの企業がリモートワークを採用し、オフィスの需要は低下しました。2020年レントプロの記事でご紹介した「テレワークがオフィス需要に与える影響」では、オフィスが供給過多になり借り手が優位になると予想しましたが、現在はどのような状態にあるのでしょうか。
株式会社パーソル総合研究所が2022年7月13日~7月18日にかけて調査したテレワーク実施率は正規雇用社員で25.6%となっており、以前の記事でお伝えした2020年11月の調査から微増という結果になりました。
また、同調査による企業規模別テレワーク実施率の調査について、1万人以上の企業では41.2%と2020年11月から比較すると微減となりましたが、100人未満の企業規模では14.2%と微増する結果となり、大きな差が若干縮まりました。2022年2月~2022年7月では全ての企業規模で減少しています。
日本経済新聞に掲載された森ビルが実施した2022年10月1日~10月31日のオフィス需要調査によると、耐震性に優れたビルへの移転、優秀な人材確保などの理由で新規で借りる予定がある企業は、オフィス面積を広げる動きがあるようです。理由としては、オフィス戦略を見直した結果、新たな働き方や新規事業の創出を目的とするためとしています。
三鬼商事が2023年3月時点で発表した東京都心5区の平均空室率は6.41%と前月比0.26ポイント上がり3ヶ月ぶりに上昇しました。3月は竣工1年未満の成約が進む一方で大規模ビルの募集面積が残ったことや、規模縮小による解約があったことで空室面積が増加しました。以前の記事でオフィスビルの空室率についてオフィスビル総合研究所の調査を取り上げましたが、2020年第1四半期が0.6%であったのに対し、2022年3月の段階で5%に上昇しました。
また、東京ビジネス地区の2023年3月時点の平均賃料は19,991円と前年同月から375円下がり2018年4月以来59ヶ月ぶりに平均賃料が2万円を下回りました。
そのような中、今後5年で大手不動産会社による大型オフィスビルが次々と完成する予定です。立地が良く、環境、設備など近年のニーズを捉えた物件です。しかし、現在もオフィスの空室率は高いことから、新しいオフィスが完成しても、さらに空室率が上昇すると予想できます。
新型コロナウイルスの位置づけが感染症5類に移行され、オフィスの需要も以前に比べて回復することも予想できますが、出社とテレワークを併用する企業もあるため、オフィスの需要が回復するのはまだ先になると思われます。
以上のように現在、オフィスは空室率が高く供給過多の傾向にあり、今後すぐに需給のバランスが変わることはないと予想します。
賃料を見直す時期として、上記のように空室率が高い方が賃料を減額できる可能性があります。入居率の低いビルや、契約時から一度も賃料の改定を行っていない場合、相場よりも高く支払っていることが多々あります。ぜひこの機会に賃料の見直しをされてみてはいかがでしょうか。
下記ページでは賃料減額の全体像や注意点について説明しています。ぜひ一度ご覧になってください。