保育業界の動向と賃料削減について
近年増加する共働き世帯にとって必要不可欠な保育施設ですが、保育士不足と言われて久しい状況です。業界の動向とともにコスト削減の必要性について確認していきましょう。
・保育施設の種類について
図1 東京都福祉保健局 参照
上記一覧の通り、保育施設は大きく分けて2種類あり、「認可保育所等」、「認可外保育施設」があります。
国から許可を得て運営するのが「認可保育所等」で、運営費も国から支給されます。一方「認可外保育施設」とは国からの認可を受けずに運営している施設のことです。施設独自の保育料を設定し、国からの運営費が支給されないことが主な違いです。
まずは、「認可保育所等」の種類についてご説明します。
「認可保育所」とは、国の定めた基準(施設の広さ、保育士の職員数、防災・衛生管理など)を満たし各都道府県知事の認可を受けた保育所のことを言います。子どもの定員は20人以上で、対象年齢は0歳~小学校就学前の子どもが対象です。
「地域型保育事業」とは、認可保育所より少人数の0歳~2歳の乳幼児を保育する事業で、多様な保育ニーズに対応する下記の4つの事業があります。
1「家庭的保育事業」
保育者居宅、施設で保育を実施し、定員は1~5人に制限されています。居宅やマンションの一室でサービスを提供していることから、保育ママ制度とも呼ばれています。認可保育所とは違い細かいサービスを提供できることが魅力です。
2「小規模保育事業」
保育を行う場所は、家庭的保育事業と同じになりますが、定員は6~19人となります。小規模保育事業は家庭的保育事業と従来の保育所の間に位置し、その規模から柔軟性があり、保育の質も保証されています。
3「事業所内保育事業」
事業所内に保育施設を設置し、企業が主体となって運営しています。従業員の子供又は、地域の保育を必要とする子供が対象になります。
4「居宅訪問型保育事業」
ベビーシッターや保育士が自宅を訪問し、基本的にマンツーマンで保育を行います。
そして「幼保連携型認定こども園」とは、教育・保育を一体的に行い幼稚園と保育所の両方の良さを合わせた施設で、定員や対象年齢も保育所と同じ基準です。
続いて「認可外保育施設」について説明します。
「認可外保育施設」とは、認可保育所、地域型保育事業、認定こども園、以外の保育を行うことを目的とした施設です。定員や対象年齢もその施設によって異なります。国の認可は受けていませんが、認可保育所等では対応できないニーズに対応できます。運営が自由にできる為、時間外、土日・祝日、24時間対応など独自の運営形態が魅力的です。
・保育業界の動向
保育所等の数は厚生労働省が公表している推移を見てみますと、年々増加傾向にあり2021年の時点で38,666か所の保育所等があります。(図2)
また、共働き世帯の増加に伴い保育の需要は年々増加傾向にありますが、保育所等の数も増えているため、一部地域を除く場所では待機児童問題も解消されつつあります。(図3)
一方で、日本は現在少子化が進んでおります。2023年2月28日に厚生労働省が公開した、2022年の速報値の人口動態統計を見てみると、2022年1月~12月の出生数は過去最少の79万9728人となっており1899年の統計開始以来、初めて80万人を割りました。待機児童問題の解消も手放しで喜べる状態ではないでしょう。
そのような中、保育所等の増加に伴い、保育士不足が課題となっています。
保育士の登録者数と従事者数の推移(図4)を見ると増加傾向にはありますが、登録者に対して従事する割合が減ってきているのが見て取れます。
厚生労働省の調査によると保育士として就業しない主な理由は「賃金が希望と合わない」「他職種への興味」「責任の重さ・事故への不安」などがあるようです。
また、待機児童問題が解消されつつあるのは望ましいことですが、少子化に伴い、定員割れを起こす施設も増えてくるのではないでしょうか。
そのような状況下では、より一層「保育士にも保護者にも選ばれる保育所」作りに力を入れる必要があります。保育士不足を解消する手立てとして待遇改善をすることが考えられますが、その一つの手段としてコスト削減に取り組まれてはいかがでしょうか。
(図4)厚生労働省子ども家庭局保育課作成
・賃料減額という選択
賃料を払っている施設、認可外保育所などはコスト削減できる可能性があると考えています。
コストには人件費・光熱費・賃料・税金など色々ありますが、「賃料」は毎月固定かつ他の費目に比べてボリュームも大きな決して無視できないコストの1つです。
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