東京都心オフィスの空室率

東京都心では大型オフィスビルの竣工が相次ぐ中、竣工予定ビルへの移転、事業見直しなどによりオフィスの空室率が上昇しています。

オフィス仲介大手の三鬼商事が8月に公表したデータによると、東京都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)の平均空室率は6.4%と前月比マイナス0.06ポイントとなり、供給過剰目安とされる5%を31ヶ月連続で超えました。過去1年の平均空室率も6%台で推移しているため依然として空室率は高い状態です。

また、都心5区の平均坪単価は、2023年8月時点で19,756円、前年同月の20,250円と比較すると、494円減少しています。2022年8月~2023年8月の期間では、坪単価が毎月減少しているため、2023年9月以降も減少傾向が続くものと思われます。

一方、2023年8月の地域別空室率に着目すると、千代田区3.71%(前月比-0.09%)、中央区7.06%(前月比+0.21%)、港区9.48%(前月比-0.12)、新宿区5.32%(前月比-0.12)、渋谷区4.18%(前月比-0.10%)であり、千代田区、渋谷区のみが供給過剰目安を下回る数値が出ています。

また、2023年8月の地域別平均坪単価は、千代田区21,495円(前月比+113円)、中央区18,093円(前月比-150円)、港区19,635円(前月比-27円)、新宿区17,934円(前月比-43円)、渋谷区21,818円(前月比-125円)であり、空室率の低い千代田区、渋谷区のみが21,000円台で推移している結果となりました。

オフィスの需要に影響を与えている要因の1つに在宅勤務の定着があります。東京都が2023年6月に実施した調査によると、都内企業(従業員30人以上)の44%がテレワークを実施しているデータがあります。ピークを迎えた緊急事態宣言期間中の64.8%から数字としては減少していますが、5類感染症に移行された現在の状況を考慮すると高い実施率のように感じます。現在では個人のデスクを持たず、フリースペースなど場所にとらわれず仕事を行うことを推奨している企業もあるため、オフィスの縮小などを行う企業が今後も出てくると思われます。

そのような中、2023年11月竣工が予定されているSHIBUYAタワー(地上39階、地下4階)など大規模なオフィスビルが相次いで竣工する予定です。そのため、地域によっては依然として空室率の高い状態が続く可能性は高く、契約時の賃料と比較すると乖離している可能性があります。

賃料を見直す時期として、上記のように空室率の高い状況の方が減額できる可能性は高くなります。空室率が上がっている地域では、相場より高い賃料を支払っていることが多々あります。ぜひこの機会に賃料の見直しを検討されてみてはいかがでしょうか。

下記ページでは賃料減額の全体像、注意点を説明しています。