テレワークがオフィス需要に与える影響

新型コロナウイルスは多くの人のワークスタイルを一変させました。
テレワークやオンライン会議が浸透し、アポイントもZoomなどのWebツールで行われることが珍しくなくなりました。移動や身支度が不要になることから、ストレスが減ったという声も多く上がっています。

株式会社パーソル総合研究所が2020年11月18日-11月23日にかけて実施した2万人規模の調査によると、正社員のテレワーク実施率は全国平均で24.7%となっています。

また同調査によると、従業員数別に企業のテレワーク実施率をみると、1万人以上の企業では45.0%で半数に迫る勢いであった一方、100人未満では13.1%と、大きな差がついています。

テレワークが一般化すると、従来のオフィススペースが不要になることから、自分たちにとって適正なオフィスの立地や面積を再検討したり解約を検討する企業が増えてきています。日本経済新聞社が2020年6月30日-7月15日に実施した国内主要企業145社へのアンケートでは37.9%の企業が「オフィス面積の縮小を検討している」と回答しました。

三鬼商事が2020年7月9日に発表した6月末時点の東京都心5区の100坪以上のオフィス平均空室率を見ると、空室率は1.97%と依然として低い状況にはありますが、前月比で0.33ポイント上昇しており、その上昇幅は2010年2月以来10年4か月ぶりでした。

オフィスビル総合研究所が2020年5月29日に公表したマーケットレポートによると、東京都心5区のオフィスビルの空室率は、2020年第1四半期には0.6%となっているのに対し、3年後には4.8%に上昇すると予測されています。
特に渋谷区は他の区と比べてテレワークと相性がよいIT系の企業が多く入居しているため上昇率が大きいようです。
空室率4~5%程度が借り手市場、貸し手市場の境界だと言われていますので、今よりも借り手優位に近づくものと考えられます。(リーマン・ショック時は8%を超えました)

オフィスを解約する際には通常6ヶ月間の予告期間が必要なことから、年末にかけてその傾向がより表面化していくでしょう。
一方で、自宅でテレワークを推進する企業の社宅としてSOHOや、混雑を避ける郊外型のシェアオフィスやサテライトオフィスなどテレワークを基本とした職場を整え対応する企業が増えていくことが予想されます。

しかし、オフィスを解約・移転する場合、原状回復費用や引越し費用、新オフィスの設備投資など、大きなコストがかかります。
オフィスの規模を縮小してもいいと考える企業の中には、今の賃料が一定以上下がるのであれば、このまま同じオフィスを維持したいと考え、「賃料減額」を検討される方もいらっしゃいます。

賃料減額の流れや注意点などについて、こちらの記事にまとめていますのでぜひご覧ください。