緊急事態宣言の発令で飲食店はどう立ち回るか

飲食店への影響


2021年1月7日、新型コロナウイルスの新規感染者数激増を踏まえ、政府は首都圏1都3県を対象に緊急事態宣言を発令しました。実施期間は1月8日から2月7日です。
京阪神での実施が決まったほか、愛知・岐阜などでも検討されています。

今回の緊急事態宣言における飲食店への主な要請内容は、20時までの営業時間短縮です。(酒類提供は11時-19時まで)
20時までに営業終了する店舗が多い中、20時以降はテイクアウトやドライブスルー、デリバリーで対応する店舗も少なくはありません。
単価の高いディナー営業の制限に伴い、営業時短ではなく休業を選択する店舗も目立ちます。

東京都のケースでは、今回要請に応じた店舗には1日6万円(前回は4万円)の協力金が支給されます。
1月8日から要請に従った場合は186万円(31日間)、準備等が必要で1月12日からの場合は162万円(27日間)になります。(いずれも中小企業・個人事業主の経営店舗に限ります)
期間中は全面的に応じる必要があり、日単位の協力は支給の対象外です。
また、テイクアウトやデリバリー専門店、ネットカフェ、イートインスペースを有する小売店、有しないキッチンカーなどは協力金の対象外です。
申請店舗数に上限は定められておらず、具体的な申請期間・方法は決定次第、公表されるとのことです。(2月中旬以降)

その他、支給条件として、ガイドラインの遵守、および店舗に「感染防止徹底宣言ステッカー」を掲示することが定められています。
要請に応じない店舗には時短を指示し、店名を公表するなどの措置も検討されています。現在は罰則・強制力はありませんが、現在政府・与党は罰則規定を設けた改正法案を準備中です。
※変更がある場合や自治体によって対応が異なる場合がありますので、詳しくは官公庁の発表をご確認ください。(例えば千葉県では大手企業の対象化も検討されています)

出典・参考:東京都産業労働局「営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金(1/8~2/7実施分)について



対応策


しかし、大型店やディナー営業中心の店をはじめ、それだけでは損失分をカバーできないという店舗は少なくありません。

飲食店を運営される方にご活用いただけるその他の方策を以下にいくつか記します。


雇用調整助成金

新型コロナウイルスの影響によって事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために雇用調整(休業・出向)を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成する制度である「雇用調整助成金」が2021年2月末まで延長されました。

【対象事業者】雇用保険に加盟しており、新型コロナウイルス感染症の影響により最近1ヵ月の生産指標(売上、客数などの事業活動を示す指標)が前年同月比で5%以上減少している者
【対象者】雇用保険被保険者、被保険者でないパート・アルバイトも対象
【負担額に対する助成率】中小企業:4/5(9/10)、大企業: 2/3(3/4)
※()内の割合は、解雇等を行わず雇用を維持した場合の助成率
【教育訓練を実施したときの加算額】1人1日1,200円
【助成上限金額】1人1日15,000円
雇用調整助成金等オンライン受付システムより申請できます。

出典・参考:厚生労働省「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)


新型コロナウイルス感染症特別貸付

新型コロナウイルス感染症の影響を受けて業況悪化しているものの、中長期的に業況が回復し、発展することが見込まれる方が対象となる、日本政策金融公庫の融資施策です。
融資限度額は8,000万円で、無担保で融資を受けることができます。
一部対象者については条件を満たせば当初3年間を実質無利子で借りることも可能です。

出典・参考:日本政策金融公庫「新型コロナウイルス感染症特別貸付


民間金融機関での実質無利子・無担保融資

都道府県等による制度融資を活用して、民間金融機関にも実質無利子・無担保・据置最大5年の融資を受けることができます。
期限内に金融機関を通じて信用保証協会に保証申込を行う必要があります。

【融資期間・据置期間】10年以内(うち据置期間5年以内)
【融資上限額】4,000万円
【補助期間】保証料は全融資期間、利子補給は当初3年間
【担保】無担保
【保証申込期限】令和3年3月31日(水)まで
【融資実行期限】令和3年5月31日(月)まで

出典・参考:経済産業省「資金繰り支援


衛生環境激変対策特別貸付

感染症等の発生による衛生環境の著しい変化に起因して、一時的な業況悪化から資金繰りに支障を来している生活衛生関係営業者の経営の安定を図るために設けられた、日本政策金融公庫国民生活事業の特別貸付制度です。

利用条件1.最近1ヵ月間の売上高が前年または前々年の同期に比較して10%以上減少しており、かつ、今後も減少が見込まれること。
利用条件2.中長期的に業況が回復し発展することが見込まれること。
【資金使途】運転資金
【融資限度額】別枠1,000万円
【金利】基準金利:1.86%(例外有)
【貸付期間】運転資金7年以内(うち据置期間2年以内)
【取扱期限】令和3年3月31日まで

出典・参考:日本政策金融公庫「衛生環境激変特別貸付<特別貸付>


クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人に資金提供を呼びかけ、趣旨に賛同した人から資金を集める方法です。運営する飲食店にかける想いなどをページ上に綴り、支援を募ります。
当面の運営資金を確保すべく、クラウドファンディングを通じた資金集めを支援する動きが昨年から既に始まっています。
国内大手のREADYFOR株式会社は1都3県の飲食店に対し、2月7日まで手数料無料でのサービス利用提供を決定しました。同じく国内大手の株式会社CAMPFIREも1月12日から手数料を引き下げています。


フードデリバリーサービスの拡充

フードデリバリーサービスはUberEatsや出前館だけではありません。昨今、様々な類似サービスが生まれています。

参考:めしコイ「日本国内で使える【フードデリバリーサービス】一覧


その他

飲食店が直接恩恵を受けるものではありませんが、政府は飲食店の取引先にも3月以降に給付金を支給する方針を打ち出しています。(中小企業に最大40万円、個人事業主に最大20万円)
時短営業の結果、昨年1月または2月と比べて売上が半減した企業などが対象となっています。

出典・参考:日経新聞「飲食店取引先に最大40万円支給 経産相が表明(2021.01.12)

他にも様々な支援策が存在します。各自治体によって独自の補助金等の支援策が行われている場合もあります。詳細については、管轄する各省庁・自治体のホームページなどからご確認ください。

※上記は調査時点(2021/01/12)での情報であり、変更される場合もあります。


賃料削減という選択


いつ終わるかも分からないこの状況において、一時的な給付金のご活用と同時に、継続的なコスト削減も視野に入れてみるのはいかがでしょうか。

多くの飲食店において、人件費と原料費に次いで大きなコストとなっているもの―それは賃料です。

弊社はこれまで全国各地の数多くの飲食店の賃料を削減してきました。
賃料コンサルティングを十数年行っており、飲食店の相場にも精通しています。
継続的な賃料減額を勝ち取るためには、コロナの話だけではなく、物件相場や賃貸人状況も踏まえた対策が求められます。

この状況下、非常に多くのお問い合わせをいただいておりますが、個別に精査・対応させていただいております。こちらのページからも無料診断のお申込みが可能です。(最下段参照)

最後に、新型コロナウイルス感染症に罹患された方およびご家族・関係者の皆様には、謹んでお見舞い申し上げますと共に、お亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
また医療従事者はじめ感染防止にご尽力されている皆様に、深く感謝申し上げます。