アルバイトの採用コストを下げる5つの方法・考え方

店舗などを経営する多くの方にとって、アルバイト・パートの採用は欠かせません。
当然ですが、採用活動にあたってはコストがかかります。

株式会社ツナグ・ソリューションズの調査によると、アルバイト1人あたりの採用にかかるコスト(採用単価)は、2009年には平均2.9万円でしたが、2014年には平均5.2万円となっており、その後も採用単価は上がっていると見られています。(PRWire ツナグ・ソリューションズ
また、2019年に株式会社マイナビが実施した調査では、前年と比較してアルバイトの採用コストが「上がった」と回答した企業が全体の27.8%となりました。(アルバイト採用活動に関する企業調査

こうした傾向はアルバイトに限った話ではありませんが、生産人口の減少によるところが大きいと考えられます。
求人倍率の高さもあり、多くの店長・管理者が「人を採用できないこと」「従業員がすぐ辞めてしまうこと」に課題を感じているようです。

店長・管理者が職場で感じている課題
出典 パーソル総合研究所 2016

分かりやすい採用コストと言えば求人広告費(バイトルやマッハバイト、情報誌や折込広告など)ですが、応募対応や面接を行う社員の人件費も無視できません。

採用活動に限らず、コストはなるべく抑えたいものです。
採用コストを下げる方法は大きく「採用単価を下げる」「採用頻度を下げる」の2つに分けられます。
本記事ではアルバイト・パートの採用コストを下げるための方法をまとめました。

採用単価を下げる

①求人広告の見直し

バイトルやマッハバイト、マイナビバイトやLINEバイトなど様々なアルバイト求人媒体がありますが、料金やプラン、課金のされ方(掲載課金・成果連動課金など)はもちろんのこと、年齢層のような求職者の属性やエリアなど、それぞれに特徴があります。

求めるアルバイト像と求人媒体の特徴を考慮し、より効果的に露出できる媒体・プランを選び、より刺さる広告内容に修正するのも一つでしょう。

②安価な求人媒体の活用

先に述べた有料求人媒体以外にも、Indeedや求人ボックス、スタンバイやengageといった、無料で求人情報を掲載できる求人検索エンジンがあります。

上位に表示できる有料版もあります(クリック課金)が、登録したばかりのアカウントについては無料版でも一定期間は優先的に表示されやすくなります。

まずは無料で求人を出してみるのも一つです。

③リファラル採用

自社の従業員などからの紹介を受けて採用することをリファラル採用と言います。

リファラル採用のみで回している会社や店舗もあります。

紹介者としても、職場にマッチしそうな人を紹介することになるので、ミスマッチによる早期離職が発生しにくくなり、次に説明する「採用頻度を下げる」ことにも繋がります。
満足度の高い従業員に、周りで興味のある人がいたら紹介してほしいと聞いてみるのも一つです。就職が決まったらボーナスを出すと励みになるはずです。

ただし、ネガティブな理由による離職率が高い職場では紹介が発生しにくいため、現実的な選択肢とはならないでしょう。

採用頻度を下げる

アルバイトを辞める理由と続ける理由とは

採用活動の必要性を減らす、つまり離職率を下げるというアプローチです。
進学や就職、引越しや病気など、やむを得ず発生する離職は致し方ありませんが、職場に原因のある離職はなるべく避けたいものです。

いくら採用したところで、早期離職を招いてしまうと、かけた教育コストに見合わないばかりか、アルバイトが戦力化しないのでサービスの質の低下に繋がります。

ある調査では、店舗などのアルバイト応募者の大半は、一度は客として訪れたことがあるという結果が出ています。
離職率が下がってサービスの質が下がれば、「ここで働きたい」という気持ちになりにくくなり、応募者が減ってしまい採用コストがかさむという悪循環が生まれてしまいかねません。

では、どのような理由で辞めてしまうアルバイトが多いのでしょうか。
また、辞めずに続けるアルバイトはどのような理由で続けているのでしょうか。

アルバイトが辞めた理由
直近1年以内にアルバイト/パートに就業した15~34歳の男女
出典 ap report 2016
アルバイトが辞めない理由
出典 GROWING ACADEMY 2017

次に、アルバイト求職者は職場に何を求め、どんな状況・条件で「働き続けたい」「嬉しい」と感じるのかを示すデータを以下に記載します。

アルバイトが仕事を探すときに重視している点
出典 パーソル総合研究所 2016
アルバイト求職者10000人が回答
上司のピープル・マネジメントによる「働き続けたい」という気持ちへの影響度
出典 パーソル総合研究所 2018
継続就業意向を従属変数に置いた場合の重回帰分析の結果
バイトで1番テンションが上がるのはどんな時?
出典 求人情報サービス「an」のアンケート調査 2015
アルバイト経験のある18~24歳までの男女1000人が回答

④雰囲気・人間関係・ねぎらいに着目する

以上の調査結果を踏まえると、年齢・属性や職種によって違いがあるとはいえ、おおむね「雰囲気」「人間関係」「ねぎらい」「コミュニケーション」といった要素が重要なキーになっているようです。

例えばねぎらいの言葉を意識的にかけることで、コミュニケーションが生まれ、職場の雰囲気が良くなり、アルバイトの定着に繋がるかもしれません。

しかし、アルバイトの時期別の離職理由に関するパーソル総合研究所の調査(下図)によると、雰囲気や人間関係を主な原因とする離職の多くは、就業から数ヶ月以内に発生するものと考えられます。

では、それ以降の時期における早期離職についてはどうでしょうか。

アルバイトの時期別離職理由
出典 パーソル総合研究所

⑤給与の不満を解消する

上のデータを見ると、時間が経つにつれて「給与への不満」を理由とした離職が増えてくることが分かります。

時間が経って仕事に慣れてくると、より多くの業務を任されるようになります。
そうするとアルバイトの負担が増える一方で、その負担に見合った給与が支払われない(昇給やボーナスがない)ことに不合理さを覚えるようになります。その結果、もっと条件の良い職場に身を移すことになってしまうのです。

そこで、仕事に慣れてパフォーマンスを発揮しているアルバイトに対しては、昇給やボーナスといった形で応えることも視野に入れてみてはいかがでしょうか。
給与支払いの負担は増加するものの、離職による業務パフォーマンスやサービスの質の低下、新規採用のための出費の発生を考えると、現実的で合理的な選択であると言えます。

離職を防ぐことに力を注ぐ

人手が足りないとき、新しくアルバイトを採用するのは当然の流れです。

しかし、離職の多さに端を発して度重なる採用活動を余儀なくされているのであれば、せっかく採用しても結局定着することなく、また採用活動に踏み切らなければならなくなります。

職場の雰囲気や既存の従業員へのねぎらい、パフォーマンスに見合った報酬などについて見直して改善するというステップなしには、根本的な課題解決には繋がらない可能性があります。

採用コストや教育コスト、高いパフォーマンスを発揮できるようになるまでの時間・労力などを考えると、離職率を下げる方が、経営上合理的である場合がほとんどでしょう。

もちろん、何を原因とする離職が多いのかは、職場によって千差万別です。
いずれにせよ、離職率が高い場合は、現場をよく見て、何が問題かを見極め、適切な対策を打つことが望まれます。
バケツに水を入れるより先に、バケツの底の穴を小さくすることが重要なのです。

その他のコストにも目を向けてみる

事業を運営するにあたって発生するコストは、採用コストの他にも多岐に渡ります。

採用コストの削減を考えるとき、その他のコスト削減についても同様に目を向けてみるのはいかがでしょうか。

特に、月々固定でかかってくる費用は、売上に関わらず負担となるため、特に着目すべきポイントです。
固定でかかる費用の代表格が、物件の家賃・賃料です。
店舗に限らず、オフィスや倉庫などの不動産物件を借りている場合、それらは避けて通れません。

「家賃・賃料を下げるには、今よりも安い物件に移転するしかない」と考える方も多くいらっしゃいます。

しかし、移転に際しては原状回復費用や引越し費用、新たな設備投資費用など、様々なコストがかかる上に手間・労力も決して軽いものではありません。

実は、移転することなく、今入居している物件の家賃・賃料を下げることは充分に可能です。

オフィスに限らず、現在契約・入居している物件の賃料削減にご興味がある方は、ぜひこちらのページもご覧ください。