地方のオフィス市況について

地方ではリーマンショック以降、長期に渡る賃料低迷が懸念されたため、オフィス投資が十分になされてきませんでした。

ビルを新しく建てても投資回収できないとの認識が不動産デベロッパーたちの間に広まっていたことが大きな要因です。
その結果、大都市と異なりこの期間での新規のオフィス供給は少なくなっています。

このため、数少ない新しく高機能なごく一部の物件では需給が高まり賃料の上昇もみられますが、より良いオフィスに移転したいと考える企業が増えても、地方では要望に応えられる物件が限られており、少ないパイを分け合う構図になっています。
一方で、設備が老朽化したビルについては賃料を下げてもなかなか借り手を確保できないのが実情です。

そんな中、地方都市で注目されているのは、北陸新幹線の開通によって利便性が増した金沢をはじめとする北陸エリアです。新幹線の開業を契機とした支店の新規開設や館内増床により、駅周辺の一部の大型ビルでは賃料が上昇しました。

こうして企業誘致や既存オフィスの拡大が進んだ反面、東京からの日帰り地域に組み込まれたことで逆に支店や営業所が撤退する動きも生まれました。
実際に、2011年に九州新幹線が開業し博多・鹿児島間が最速1時間17分が結ばれて以降、鹿児島の拠点が博多に集約された事例は数多くありました。

築年数や立地条件により、空室率や賃料の格差がビル間で一層拡大しており、レントプロにも地方からの問い合わせが増えています。
厳しい状況に立たされているビルは多く、地方のオフィス市況全体が活況になるには、しばらく時間がかかりそうです。

追記:2020年の新型コロナウイルス感染拡大に伴い、テレワークが浸透するなどしたことによってオフィス需要に大きな変化が生じました。都心の空室率も上昇傾向にあります。