賃料減額要請では減額申込書類を提出するべき理由

新型コロナウイルス感染症の拡大もあり、大手企業を中心に現在借りているテナントや事務所の賃料削減交渉が盛んに行われています。
そしてこの賃料削減交渉ですが、皆様の中には「賃料減額交渉なんて、直接対話をして詰めればいいのではないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、口頭ではなく賃料減額申込書にて申し出るべきです。

賃料減額申込書とは

賃料減額申込書とはその名の通り「賃料減額要請をする際に提出する文書」のことです。
賃料の減額を希望している旨に始まり、具体的な減額希望額や希望開始時期、希望返答期日など、減額要望内容に関して盛り込んで、貸主(オーナー)や仲介・管理会社に提出します。

口頭での要望ではダメなのか

これは何も賃料減額交渉に限った話ではありませんが、口頭だけで交渉をしていくと手っ取り早い反面、交渉内容が一切記録に残りません。
いざ契約更改をしようという段階になって、認識の違いが発覚してトラブルになったり、決定内容を反故にされてしまう可能性があります。

しかし、賃料減額要請申込書を提出し、さらにその後の交渉についても文書を交わしておけば、その心配は必要ありません。
交渉の過程はもちろんのこと、その結果についてもしっかりと「証拠」を残しておくことができるため、契約更改の段階におけるトラブルを予防することができるのです。
また文書による交渉であれば、相手方と面と向かって対話をする必要がないため、訪問・対面に時間を取られることもありませんし、対面コミュニケーションで気まずい思いをすることもありません。

交渉相手が法人の場合は迷う必要なし

現在賃借している物件のオーナーが法人である場合や賃料等に関する交渉の一切を管理会社等が請け負っている場合、賃料減額交渉はビジネスライクに、淡々と進んでいく傾向があります。迷いなく賃料減額申込書を提出すべきです。

電話等で賃料減額の申し入れをしたとしても「申込書を提出してください」と言われるケースが多いのですが、そうではないケースもあります。
仮に相手方が申込書について言及しなかったり「申込書は要りません」などと言ってきた場合でも、必ず申込書を提出することをお勧めします。

交渉相手が個人の場合は注意が必要

貸事務所やテナントの中には、そのオーナーが法人ではなく個人である場合があります。
個人がビルを建てたり購入したりして、それを賃貸しているというケースです。

そのようなケースでは、書類提出にあたっては注意が必要です。

なぜなら個人オーナーの場合、いきなり文書を送り付けると「紙切れ一枚で家賃を値切るなんて失礼なヤツだ」と憤慨されてしまう恐れがあるからです。

特に昔からある古いビルのオーナーに多いのですが、そのオーナーとある程度人間関係を築いている場合やそのオーナーが昔堅気な性格の場合、機械的に申込書を送付してしまうとその感情を逆撫でしてしまうことがあるのです。(また、個人オーナーの場合、賃料減額交渉に慣れていない方が多いのが現状です)

そうなってしまうと交渉どころではなくなりますし、関係が悪化してしまうことで、定期借家契約の場合は再契約をしてもらえずその物件から退去せざるを得ないという結果になるリスクもあります。

そのため賃料減額交渉をする場合には、オーナーの性格や人間性を考慮した上で、どういったタイミングで賃料減額申込書を提出するのかということに関して、しっかりと吟味する必要があります。具体的には先に対面や電話にて口頭で伝えた上で書類を用意したり、更新のタイミングに合わせたり、ある程度話を進めた上で文書を用意するといったことが考えられます。

現在入居している物件が譲渡されるとき

不動産業界においてはテナントやビルの売買が盛んに行われています。
ただ物件を借りている側としては、物件オーナーが変わったとしてもあまり関係がないような気もしますよね。

確かに現在借りている物件が譲渡されたとしても、そのままの条件でテナント等を借りつづけることは可能です。
しかし現在入居している物件が譲渡されそうなとき、しておいた方が良いことが一つあります。

それは、やはり賃料減額申込書を提出しておくということです。

物件オーナーが賃料減額申込書の提出を受けた場合、オーナーはその物件の購入を検討しているクライアントに対して「現在入居している方から賃料減額申込書の提出があった」ということを伝えるのがマナーです。

そうすると、物件を購入する側としては「この先、賃料を下げることを求められる」ということを分かった上で物件価格の交渉をし、購入を決定します。

つまり新たなオーナーは、“賃料を下げる”可能性を織り込み済みでその物件を購入することになるのです。
そのため物件オーナーが変わったあとはかなりスムーズに賃料削減交渉を進めることができ、より高い確率で希望条件の家賃に改定することができるというわけです。

まとめ

現在借りている事務所、あるいはテナントの賃料削減をご検討中の方でこれから交渉を開始しようとお考えの方は、のちのちトラブルにならないためにもまずは賃料減額申込書を作成してみてください。

賃料は会社の経費においてかなりのウエイトを占めるものですので、確実な手続きを進めることによって交渉をスムーズに、そして希望通りに進めることができます。ただし、オーナーが個人である場合には、提出のタイミングに注意が必要です。

また、ビル等のオーナーが変わる際に賃料減額申込書を提出すると、新オーナーへの交渉が円滑化しやすくなります。

とはいえ、申込書を提出したところで、それに応じるかどうかはオーナー次第です。
直接の交渉の場に臨むにあたっての周到な準備や当日の立ち回りなどが肝となります。
また、たとえ減額に成功したとしても、下げ幅が小さかったり、期間限定であったり、不利な条件をつけられてしまったりということにもなりがちです。

レントプロでは、賃料削減交渉の進め方についてはもちろん、それぞれのケースに応じた申込書提出のタイミングについてもアドバイスできますので、ご活用も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

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