A工事、B工事、C工事とは?オフィス原状回復費用を削減する鍵は「工事区分」にあった!

オフィスの移転や退去準備を進める中で出てくる「A工事」「B工事」「C工事」という言葉。
「なんとなくは知っているが、正確な違いは説明できない…」
「B工事の見積もりが異様に高い気がするが、指定業者だから仕方ないのか?」
「この工事、本当にB工事でやる必要があるのだろうか?」

このように、工事区分について曖昧な理解のまま手続きを進めてしまうと、特に退去時の「原状回復費用」において、本来支払う必要のない高額な費用を請求され、数百万円単位で損をしてしまう可能性があります。 この記事では、オフィスのコスト管理に携わる総務・経理担当者様、経営者様に向けて、原状回復費用削減の鍵となる「A工事・B工事・C工事」の仕組みと、高額請求を回避するための知識を解説します。


すべての基本!「A工事・B工事・C工事」の違いとは?

オフィスビルの工事は、その責任の所在と費用負担のルールによって、大きく3つに分類されます。
この区分けは、賃貸借契約書や工事区分表で明記されています。
最大のポイントは、「誰が発注するか」「誰が費用を負担するか」「誰が工事業者を指定するか」です。

まずは、この3つの基本ルールを表で確認しましょう。

工事区分発注者費用負担者工事業者工事の対象例
A工事オーナーオーナーオーナー指定ビル共用部・躯体
(エレベーター、廊下、外壁、共用トイレ、建物の構造部)
B工事テナントテナントオーナー指定ビル全体に関わる設備
(防災設備、空調、ビルの基幹システムに関わる配線)
C工事テナントテナントテナント自由選定
(要オーナー承認)
テナント専有部の内装
(壁紙、床、造作壁、家具、電話・LAN配線)

各工事区分の詳細と具体例

この表だけでは、まだイメージが湧きにくいかもしれません。
特に、テナント(借主)が費用を負担する「B工事」と「C工事」の違いが非常に重要です。

A工事

費用負担:ビルオーナー
特徴: テナントが費用を負担することは一切ありません。ビル全体の維持管理や、資産価値向上(リニューアル等)のために行われる工事です。

具体例
・エレベーターホールの改修
・ビルの外壁塗装、屋上防水
・共用廊下や共用トイレの修繕
・建物全体の耐震補強

テナントとしては、工事中の騒音や動線に影響が出る可能性はありますが、費用負担を求められることはないため、「ビル側がやってくれる工事」と理解しておけば問題ありません。

B工事

費用負担:テナント(借主)
特徴: これが最も注意すべき工事です。テナントの希望(入居時の内装や、退去時の原状回復)によって発生する工事であるにもかかわらず、テナントは工事業者を自由に選べません。ビルオーナーが指定した業者(指定業者)に発注し、その費用を全額テナントが負担します。

なぜ業者指定されるのか?:
ビル全体の安全性や機能(防災、空調、セキュリティなど)に影響を与える可能性があるためです。「もしC工事でテナントが連れてきた業者がスプリンクラーを壊してビル全体を水浸しにしたら…」「火災報知器の配線を間違えて火災時に作動しなかったら…」というリスクを回避するため、ビル側が管理・把握できる指定業者に限定しているのです。

具体例
・区画内の防災設備工事
・空調設備工事
・分電盤、配線、照明などの電気設備工事
・区画内の給排水設備工事

C工事

費用負担:テナント(借主)
特徴: テナントが費用を負担し、工事業者もテナントが自由に選定・発注できる工事です。ビル全体の機能に影響を与えない、テナント専有部の内装工事がこれにあたります。

注意点:
自由に選べるといっても、ビルオーナーの「承認」は必要です。事前に工事内容や図面、工事業者をオーナー側に提出し、「C工事で問題ないか」「ビルの品位を著しく損なうデザインではないか」などの確認を受ける必要があります。

具体例
・壁紙(クロス)や床(タイルカーペットなど)の張替え
・会議室などを作るための造作壁やパーテーションの設置
・社名サインの設置
・造作家具(受付カウンターなど)の設置
・区画内の電話配線、LAN配線などの通信設備工事


原状回復費用が「B工事」で高額になるカラクリ

ここからが本題です。
なぜ、原状回復費用の削減を考える上で、この工事区分が重要なのでしょうか。
それは、入居時にB工事で設置したものは、退去時もB工事で撤去・復旧しなければならないという原則があるからです。
そして、このB工事こそが、原状回復費用を不必要に高騰させる最大の温床となっているのです。

理由1:競争原理が働かず「言い値」になる

C工事であれば、あなたは3社、4社と相見積もりを取り、最も安く信頼できる業者を選ぶことができます。
しかし、B工事は基本的にはビル指定の1社しか選べません。
業者は「どうせウチに発注するしかない」と分かっているため、競争原理が働かず、市場価格よりも2割、3割、時には2倍近い高額な見積もりを出してくるケースが後を絶ちません。

理由2:「諸経費(管理費)」という名の不透明な上乗せ

B工事の見積書を見ると、「現場管理費」「諸経費」といった項目で、高額なマージンが計上されていることがあります。
これは、ビル側(または指定業者)が工事全体を管理・監督するための費用ですが、その内訳は極めて不透明です。C工事なら発生しないはずのコストが、B工事というだけで上乗せされているのです。

理由3:「C工事で良いはず」の工事がB工事にされている

本来、テナントが自由に業者を選べるはずのC工事(例:間仕切り壁の撤去)まで、「安全管理のため」といった曖昧な理由でB工事の範囲に含め、指定業者に一括で発注させようとするケースがあります。 テナント側が知識を持っていないと、「そういうものか」と受け入れてしまい、C工事で発注すれば100万円で済んだ工事が、B工事で180万円かかるといった事態が発生します。


まとめ:適正な費用で退去するために、専門家の活用を

この記事では、オフィスの工事区分(A工事・B工事・C工事)と、それが「原状回復費用の削減」にどう影響するかを解説しました。

  • A工事: オーナー負担の共用部工事。テナントは無関係。
  • B工事: テナント負担だが、業者指定されるビル設備関連工事。高額になりがち。
  • C工事: テナント負担で、業者自由選定できる内装工事。相見積もりで安くできる。
  • 削減の鍵: 原状回復費用のうち、「B工事」とされている範囲の妥当性を疑い、C工事にできる部分を切り分ける。

しかし、専門知識のないご担当者様が、工事区分を明確に区分けするのは非常に困難で多大な労力を要します。
もし、あなたがそのようなことでお困りなら、入居時・退去時工事費用削減の専門家である「レントプロ」にお任せください。
当社のサービスは、原状回復費用の削減に成功した場合のみ報酬をいただく「完全成功報酬制」です。
ご相談やお手元の見積書を診断するだけなら、一切費用はかかりません。お客様にリスクはゼロです。
「このB工事の見積もり、本当に適正?」
「原状回復費用、少しでも安くしたい」
そう思われたら、「知らないまま高額な費用を支払ってしまった」と後悔する前に、まずは当社の「無料見積もり診断」へお気軽にお問い合わせください。