賃料減額のために不動産鑑定書を取得する?
「不動産鑑定書」とは、不動産のプロである不動産鑑定士が第三者の視点で土地等を評価し作成する書類で、不動産を様々な角度から評価し、客観的視線で価値を測定します。ではこれが、賃料減額にどのように役立つのでしょうか?
賃料減額交渉の際に、借主側視点で作成されている賃料減額交渉資料は、貸主側からしてみるとどうしても「相手のペースで事が運んでしまっている」、「賃料減額に至る根拠が薄い」、「素人目線の考えだ」などと認識されてしまいがちです。どんなに借主側の作成した賃料減額に関する資料が秀逸であったとしても、箔が出ないのです。このようなことを、解決してくれるのが不動産鑑定書です。
この不動産鑑定書は、裁判などでも使用される資料のため、社会的信用度の高い資料です。
特に貸主が大手企業である場合は、交渉には強い根拠のあるデータが必要になってくる傾向にあります。
貸主側から同意を得られない場合、信用できる第三者側の意見として賃料減額交渉に活用するのも一つです。
ただし、この不動産鑑定書は、効力が大いに期待できる書類ではあるものの、賃料減額交渉時の開始当初から提示するのはドライな印象を生む恐れがあるため、使いどころは慎重に見定めるべきです。
不動産鑑定の費用計算は3種類あります。
1.「報酬基準型」
物件種類ごとの報酬額表に合わせて料金設定します。
あらかじめ金額が決まっているので分かりやすく、多くの鑑定会社で採用されています。2.「積み上げ型」
作業量に応じて費用が上乗せされます。
複雑な作業を要する場合などに用いられます。3.「定額型」
物件種類や作業量を問わず、一律の費用がかかります。
しかし物件によっては鑑定会社にとって割に合わないため、ほとんど採用されていません。
しかし、不動産鑑定書の作成には数十万(20万~50万)円ほどの費用がかかってしまいます。
不動産鑑定書作成に多大な経費をかけた結果、賃料減額ができなかった、あるいは少額しか下がらなかったとなれば、割に合わず、合理的ではありません。
この書類作成にかかる経費以上の利益が賃料減額によって見込める、あるいは長期的に回収できればいいという場合には有効な手段と言えます。
そんなとき、賃料減額のプロである賃料削減コンサルタントに依頼するのも一つです。
賃料削減コンサルタント会社の多くは不動産鑑定ではなく、今借りている物件の賃料は適正かであるかに焦点を当てて不動産査定を実施します。
不動産鑑定ほどの法的なパワーはありませんが、査定自体は無料で実施していることが多く、また日頃から賃料に向き合う中で培われたノウハウをもとに、減額にあたって重要なポイントを抑えながら調査することになるため、減額交渉においては大いに効果を発揮します。
賃料削減コンサルタントに依頼する場合、不動産鑑定書作成とは異なり、賃料減額の成果が出た場合にのみ成果報酬を支払うことになるため、余計な出費に終わるということにはなりません。
自社で減額を進めることのメリットとデメリットについて、以下の記事にまとめています。