【オフィス】賃料の値上げを拒否することは可能か【テナント】

不動産会社などは借主に対して賃料減額に関する提案することは全くありませんが、増額に関しては別です。(借主から増額の提案をすることがないのと同じなので、減額と増額は表裏一体です)

昨今の不動産市況の好転を受け、都心部を中心に賃料増額要請が急増しています。

その背景にはアベノミクス効果や東京オリンピック開催決定等による不動産市況の好転があります。
長らく借り手市場であった不動産市場が貸し手市場となり、その結果として賃料増額要請をする不動産業者が増えてきているのです。

近年ではテナントに対して5~20%もの賃料増額要請をした不動産会社も珍しくありませんでした。実際、東京の一等地にあるビルのテナントを借りている企業のもとに、不動産会社から「来年度から賃料を30%増額する」などというにわかには信じられないような通知が来ていたりします。

日本においては「賃料は上げられることはあっても下げてもらうことはできないもの」という認識が強いのが現状です。
不動産取引に関する知識があまりない方の中には「増額通知というくらいだから既に賃料増額は決定事項なのだろう」と判断し、「移転するにもお金や手間がかかるし、仕方ない」と、増額された賃料をそのまま支払う方も多いようです。

実際のところ、増額通知が来れば、増額を受け容れるしかないのでしょうか?

そもそも増額請求は認められるのかという疑問をお持ちの方もいると思いますが、貸主による「増額請求」は、借主による「減額請求」と同様に形成権と呼ばれる法律行為であり、請求自体は契約当事者の一方が単独で行うことのできる権利として認められています

ただし、無条件で賃料を改定できるわけではありません。

賃料改定について定めた借地借家法32条1項に基づけば「土地や建物の価格、経済事情・周辺相場の変動によって不相当となった場合」に請求できるということになっています。

借地借家法32条1項
建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。


つまり、増額請求された際は、単純に要求を飲むのではなく、経済情勢や物価の変動、客観的な指数等などにより、まずはその増額の正当性・必要性・許容性を判断する必要があります。

もちろんオーナー側もそれを分かっていますから、増額に待ったをかければ増額の根拠となる事柄を提示してくるでしょう。
そんな中、現在の賃料水準は適正ではないのか、賃貸人からの増額要望自体、および要望額は適正なのか、根拠に基づいて判断して納得まで運ぶのは、なかなか容易なことではありません。

賃料増額要請に対する交渉は不動産取引の中でもかなり難易度の高い交渉になります。ほとんどのオーナーは不動産のプロであり、不動産取引に関する知識があまりない方が交渉に臨んでも様々な資料の提示などにより跳ね返されてしまうという結果になりがちです。

しかし、賃料は事業経費の中でも大きなウエイトを占めるものですので、妥協せずに交渉を成功させたいところです。
賃料増額を回避、あるいは増額幅を小さくするために、賃料削減のプロであるコンサルタントにサポートを依頼するのも選択肢の1つです。

例えば30%の増額要望をプロの介入によって5%に着地させることができれば、自力で頑張って20%に抑えた場合と比べて「元の賃料の約2ヶ月分」の経費削減に繋がります。

多くの賃料コンサルティング会社では成果報酬制を採っているため、結果を出せなければ費用はほぼかかりませんので、成果が出ればプラス、出なくてもマイナスになることはありません。

レントプロでは賃料減額コンサルティングに加えて、増額をゼロに近づけて抑えることを目指して賃料増額阻止コンサルティングも実施しています。
賃料市場は見方や解釈の仕方によって大きく変化するため、対象物件に関する調査を行った上で「その増額要望は妥当なものであるか」などを検証し、情報を収集して理論武装して臨めば、増額要請に太刀打ちできる場合があります。

増額要望があった際の貸主とのやり取りは最初の対応が肝心です。貸主から増額を請求されていて、このままでは増額分を支払うことになってしまうとお悩みの方、どうすればいいか分からない方は、ご自身で貸主とやり取りする前に、ぜひ一度ご相談ください。