継続賃料を求める手法、利回り法について簡単に説明
不動産の継続賃料を求める手法の一つである「利回り法」について説明します。
なお継続賃料とは、既に継続中の賃貸借契約がある場合において、「現行の賃料が何らかの理由で不相当となった際に、賃貸人・賃借人間で新たに設定される賃料」のことです。
利回り法とは、賃貸人・賃借人の双方により当初に取り決めた賃料と元本価格との比率を利回りとして求め、賃料改定時点での元本価格に適用する方法です。
まずは簡単に説明します。
1億円の不動産を月50万円(年間600万円)で賃貸したとします。必要諸経費は年間120万円とします。
この時点での利回りは(600万-120万)÷1億=4.8%です。
ところがその後不動産価格が上昇し、1億2千万円になったとします。
このままこの物件を最初の価格で貸すとすると、不動産価格を考えたときの利回りは(600万-120万)÷1億2千万=4.0%。
利回りが0.8%落ちていますね。
賃貸人からすると、得られる収入に変わりはないものの、当初予定していた収益率は得られていないことになります。
そこで、賃料を引き上げることによって利回りを維持したいと考えます。
当初の予定利回り(4.8%)を、現在の元本(1億2千万円)に掛けて改定年間賃料(Xとする)を求めると、
(X-120万)÷1億2千万=4.8%
つまりX=696万円となります。
これが利回り法の基本的な考え方です。
利回り法では改定賃料などは以下の式によって算出します。
まず、「実績純賃料利回り」を以下の式から求めます。
(「現在の賃料」-「賃料決定時の必要諸経費等」)÷「賃料決定時の対象不動産価格」…①
次に「継続純賃料利回り」を次の式によって求めます。
「実績純賃料利回り」×調整率…②
最後に、以下の式から改定賃料を求めます。
「賃料改定時の対象不動産価格」×「継続純賃料利回り」+「賃料改定時の必要諸経費等」…③
具体的な例を挙げましょう。
現在の年間賃料600万円、賃料決定時の必要諸経費120万円、賃料決定時の不動産価格1億円とし、
賃料改定時の不動産価格1億2千万円、賃料改定時の必要諸経費130万円、調整率(後述)90%とします。
このとき、「実質純賃料利回り」は4.8%となり、「継続純賃料利回り」は、4.32%となります。
最後に求められた継続純賃料利回りを使用して計算すると、
(1億2千万円×4.32%)+130万円=648.4万円が継続年間賃料として求められます。
また、賃料改定時の不動産価格が8千万円、賃料改定時の必要諸経費が100万円の場合は、
(8千万円×4.32%)+100万円=445.6万円が継続年間賃料となります。
継続純賃料利回りを求める際の調整率については、不動産価格の変動率で修正する方法や、各種金融資産の金利水準(国債利回りや短期プライムレートなど)を参考に修正する方法などがあります。
利回り法は、過去に決めた賃料を利回り換算することで、各種の利回り水準と比較が容易となるというメリットがありますが、不動産価格の急激な変動時には不動産価格と経費の増減が賃料にフルスライドされるという問題点もあります。(不動産価格が高騰すれば賃借人としては大きな負担になりえます)
◆その他の賃料計算手法はこちら。
・積算法(新規)
・収益分析法(新規)
・賃貸事例比較法(新規/継続)
・差額分配法(継続)
・スライド法(継続)
賃料削減という選択
賃料は売上を問わず毎月固定でかかってくる、決して無視できないコストです。
かといって安いところに移転するには原状回復費用や引越し費用など、多額のコストがかかってしまいます。
そこでご提案したいのが、今入居している物件の賃料を交渉によって下げるという考え方です。
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下記ページでは賃料削減・減額交渉の全体像、および賃料減額交渉が困難なケースや適切な交渉タイミングなどについて説明しています。ぜひ一度ご覧になり、賃料削減という選択をご検討してみてはいかがでしょうか。
賃料削減・減額交渉は実際のところどうなのか