【事例】病院の賃料削減|敷地・介護施設など9拠点を見直し、年間約590万円の固定費を削減

「職員の賃上げは避けられない。でも、診療報酬は自由に上げられない。」いま多くの病院が、この板挟みに直面しています。

その中で見落とされがちなのが、病院が借りている土地や駐車場、職員寮・社宅、介護施設などの「賃料」です。患者様・利用者様へのサービスにも職員の待遇にも手をつけずに、毎月の支出を減らせる可能性のある数少ない費目です。

本記事では、病院経営を取り巻く最新データと、病院の敷地や介護施設など9拠点の賃料を見直し、年間約590万円の固定費を削減した医療法人の事例をご紹介します。

 

赤字病院は7割超。数字で見る病院経営のいま

病院の7割以上が赤字という、かつてない厳しい局面を迎えています。物価や人件費は上がり続ける一方、診療報酬は公定価格であることから、コストの上昇分を価格に転嫁できないためです。

  • 病院の8%が赤字:四病院団体協議会の調査では、2024年度に赤字だった病院は73.8%と、前年度から3.9ポイント悪化しました。2025年6月単月の比較でも、赤字病院の割合はさらに拡大しています。
  • 自治体病院は84%が赤字:全国自治体病院協議会によると、2025年度決算で経常赤字の病院は84%、赤字額の合計は2,180億円に上りました。
  • 医療・福祉の倒産は過去最多:東京商工リサーチによると、2025年度の「医療・福祉事業」の倒産は478件。3年連続で過去最多を更新し、うち182件が「老人福祉・介護事業」でした。

経営が厳しいのは病院本体だけではありません。病院が運営する介護事業も、同じ逆風の中にあります。収入面の改善を待つだけでは、経営を守りきれない状況です。

 

「削れるところから削る」。賃料の見直しを始める病院が増えています

収入を増やしにくい以上、経営を守るには支出を抑えるしかありません。しかし、病院の主な費目の多くは、簡単には削ることができません。

費目

いまの状況

削減のしやすさ

人件費

賃上げが求められている

削減すると人材流出・医療の質に直結

医薬品・診療材料

価格上昇が続く

取引先の見直し程度で削減余地は限定的

光熱費

高止まり

24時間稼働のため大幅な削減は難しい

賃料

契約当初の金額のままが多い

協議により削減可能性があり、効果が毎月続く

 

こうした中で、レントプロにも病院・医療法人様から「借りている土地や駐車場、社宅、介護施設の賃料を見直せないか」というご相談が増えています。賃料は、患者様・利用者様にも職員にも影響を与えずに下げられる、数少ない費目です。

 

病院が見直せる賃料は、想像以上に多くあります

病院は建物を所有している場合であっても、周辺では多くの不動産を借りています。そのいずれも、相場と比べて賃料が高ければ減額を交渉できる対象となります。

借りているもの

見直しのポイント

病院の敷地(借地)

地代は長期間据え置かれやすく、路線価の推移や周辺の地代水準と比べて高いままのことがある

駐車場(職員用・来院者用)

周辺相場の変化に加え、使っていない区画の整理も含めて見直せる

職員寮・社宅(一棟借り)

建物一棟で借り上げている場合は、一棟全体の賃料として相場と比較し、見直せる(住戸ごとの借り上げは対象外)

介護施設(グループホーム、老人ホーム、デイサービス等)

土地所有者が建てた建物を一棟借りする「建貸し」が多く、契約当初の賃料が続いていることが多い

診療所・クリニック、託児所、倉庫など

開設時の条件のまま、見直されていないことが多い

 

これらの賃料に見直しの余地が生まれやすい背景には、病院ならではの理由があります。

  1. 長期間そのままになりやすい:借地や建貸しは20年以上の長期契約が多く、契約当初の金額が続いていることがよくあります。
  2. 収支が契約時と大きく変わっている:診療報酬や介護報酬の改定、人手不足、患者数や利用者数の変化により、契約時に想定した収支が成り立たなくなっているケースがあります。
  3. 契約が多く、全体を把握しづらい:敷地、駐車場、社宅、介護施設と契約が分かれており、法人全体でいくら賃料を払っているかを把握していないことも少なくありません。
  4. 事務部門に余力がない:病院の事務部門は本体の運営で手一杯になりやすく、賃料を相場と比較するところまではなかなか手が回りません。

一件ごとの削減額は小さくても、法人全体の賃貸借契約をまとめて棚卸しすれば、年間では大きな金額になります。

 

【事例】病院の敷地・介護施設など9拠点を見直し、年間約590万円を削減

・業態:医療法人(病院・介護施設・託児所を運営)

・対象:介護施設7拠点、託児所1拠点、病院の敷地1件(計9拠点)

・実施期間:2025年5月~2025年10月

・結果:9拠点中7拠点で減額合意

・月額削減額:492,383円(税抜)

・年間削減額:5,908,596円(税抜)

・平均削減率:9.4%(合意7拠点の単純平均)

 

事例概要

A医療法人様は、地方都市で病院を運営するかたわら、複数の介護施設や託児所を賃借で運営されています。法人全体の業績が厳しくなる中で、拠点コストの見直しとしてレントプロにご相談をいただきました。

成果につながったのは、病院の敷地から介護施設、託児所まで、法人全体の賃借物件をまとめて見直したことです。削減率が最も大きかったのは病院の敷地(16.7%)でした。介護施設など一件あたりの削減は月数万円でも、合意した7拠点の合計では月額約49万円、年間約590万円になりました。この効果は、契約が続く限り毎年積み上がっていきます。

なお、合意に至らなかった2拠点については、成果報酬型のため費用は発生していません。

 

病院の賃料交渉で押さえるべきポイント

  • 相場と収支の根拠をそろえる:周辺の賃料水準や路線価の推移、契約時からの事業収支の変化を資料にします。
  • 窓口を見極める:管理会社、契約時の仲介会社や建築会社、賃貸人のご家族など、誰を通じて話すかで進め方が大きく変わります。
  • 賃貸人の事情に配慮する:借入の返済がある賃貸人には、期間限定の減額や段階的な改定など、受け入れやすい条件を提示します。
  • 関係を壊さない:病院や介護施設は移転が容易ではなく、賃貸人との関係は長く続きます。関係を壊さないよう、話し合いでの合意を目指します。
  • 合意内容を書面に残す:減額額、適用日、消費税や修繕費の取り扱いなどを、覚書などの書面で明確にしておくことが大切です。

これらを病院の事務部門だけで複数拠点分行うのは大きな負担です。レントプロでは、物件ごとの相場調査や協議に向けた資料づくりから、合意内容を書面に残すまでを一貫してサポートします。

 

よくあるご質問

 Q.賃貸人との関係が悪くなりませんか?

 A.関係の悪化を招きやすいのは、相場を無視して無理に下げようとした場合です。レントプロでは事前に調査を行い、市況に合った適正な賃料を話し合いで提案します。なお、減額に応じるかどうかは最終的に賃貸人様のご判断となり、結果をお約束するものではありません。

 Q.費用はかかりますか?

 A.賃料の減額に成功した場合のみ、削減額に応じた成果報酬をいただきます。無料診断の結果、減額の見込みがない場合は費用はかかりません。

 Q.契約期間の途中でも見直せますか?

 A.契約更新の時期以外でも、賃貸人と賃借人の双方が合意すれば賃料の改定は可能です。ただし、定期借家契約で賃料を改定しない旨の特約がある場合など、契約内容によっては減額が難しいことがあるため、無料診断で契約内容を確認したうえでご案内します。

 

まずは無料診断で、法人全体の賃料が適正かをご確認ください

賃料の見直しは、始めるのが遅れるほど、得られたはずの削減効果が小さくなります。今回の事例と同程度の削減であれば、1か月あたり約49万円に相当します。病院経営の逆風が続く今、利用者様へのサービスも職員の待遇も守りながら固定費を下げられる手段として、賃料の見直しをぜひご検討ください。

レントプロの「無料診断」では、契約内容や周辺の相場をもとに、拠点ごとに減額の余地と見込み額をお伝えします。複数拠点をまとめてのご依頼も可能です。

病院の敷地や駐車場、職員寮・社宅、介護施設などを借りている病院・医療法人様は、まずはお気軽にご相談ください。

 

出典